カザフオペラのあらすじ抄訳『ABLAY KHAN -アブライ・ハン-』

こんにちは、KISEです。はようございます。KISEです。昨日のカザフオペラのあらすじ抄訳『ABAI -アバイ-』に続いてもう一作品いきますね。歴史モノ、英雄モノの『アブライ・ハン』です。アブライ・ハンは、カザフスタンの100テンゲ紙幣にも描かれているとおり、18世紀前半、カザフの人々を率いてジュンガル帝国と戦った英雄的存在。史実がもとになっているので、ストーリーはわかりやすいです。そしてなんとフルバージョンがYoutubeで見られます!お時間のある際にぜひ!

視聴できるとはいっても言語がわからないと辛いのでアバイ記念オペラ・バレエ劇場のページを中心にあらすじを翻訳していきたいと思います。

オペラ『アブライ・ハン』あらすじ

第一幕

賢者ブハル・ジュラウは、カザフとジュンガル帝国の終わりなき争いを嘆いていた。人々を導くことのできる英雄があらわれないものか。そこに痴者のディヤナが駆け込んできて、またジュンガルの軍がやってくると告げる。


ジュンガル帝国の将軍シャルシュは、カザフには歯向かってくる勇者すらいないのかとカザフの民を侮辱する。しかしそこに颯爽とあらわれ、その挑戦を受けた者があった。アビルマンスルという無名の若者である。しかもアブルマンスルは苦闘の末にシャルシュを破ってしまった。

人々は驚嘆し「どなた様ですか? 知られざる英雄様でしょうか?」とアビルマンスルに感謝の意を示す。アビルマンスルは「私は敵を倒すまで降伏することはない。祖国よ、我を祝福したまえ」と答えた。


しかし、アビルマンスルは狩りの最中にジュンガルに捕らえられてしまう。突如、残虐なジュンガルの王ガルダンツェリンの娘トプシュが侍女たちとともに暗闇から姿をあらした。彼女は美声と美貌でアビルマンスルを誘惑する。囚われのアビルマンスルは決して動揺せず、彼女と侍女に向かってこう言った。「女が多すぎると犬は背を向ける」。トプシュは激怒し、高慢な男にものを教えてやるよう衛兵に命じた。


アビルマンスルは悲嘆にくれていた。彼の国は再び苦悩のなかにあり、人々の幸福は夢物語だ。そんなアビルマンスルの牢屋に、今度はカルパシュという女がやってくる。 王ガルダンツェリンの妻となる女性である彼女は、 祖国を懐かしみ、そして囚人を哀れんで、檻のなかに忍び込んできた。


ガルダンツェリンが「戦士シャルシュを破った英雄は誰だ」と気色ばんでいる。シャルシュは強く、勇敢で誇り高い戦士だった。また、ロシアや周辺諸国も不穏な動きをみせている。ガルダンツェリンはもしやと思い、囚人を連れてくるよう命じた。


ガルダンツェリンの臣下に連れられアビルマンスルが王の間にやってくる。王はアビルマンスルに、トプシュの金杯とカルパシュの銀杯を勧めた。彼が杯をあおる様子を見たガルダンツェリンは満足して言った。「おまえは銀の杯から飲み我を満足させ、金の杯から飲み我と同等となった。神の祝福あれ」

第二幕

宴が催されている。アブライ・ハン-改名したアビルマンスル-はカザフの王アビルマムベトから領土の半分を与えられることとなった。人々は「我らの鷹が舞い戻った。希望の光が再び灯された」と歓喜している。貴族らもアブライ・ハンを彼らの王と認め、白い神輿で彼を運んでいく。


新王を祝福するため各国から大使や招待客が集った。そしてあのトプシュは、政治的な取引があったのだろう。アブライ・ハンの妻となっていた。彼女は恐ろしい企てをもっていた。ジュンガル帝国の王位継承者をすべて廃し、さらに自分がカザフで男児をもうけることで2か国を統べる王の妻になろうというのだ。アブライ・ハンは彼女の手に、彼女の兄ラマダルジャーの心臓が握られているのを見た。トプシュが兄の心臓を抉りだしたのだ。


アブライ・ハンがかろうじて自分を落ち着けているところにロシアからの大使がやってくる。大使は、ロシア皇帝からのクズルジャルでの市場への招待状を読み上げるとともに、ジュンガルの王ガルダンツェリンの息子アムルサナーについて尋ねた。
続いてやってきたのは中国からの使者だ。中国大使は中国皇帝からの勲章をアブライ・ハンに献上し、そしてまたアムルサナーの行方を尋ねた。アブライ・ハンは不思議に思った。なぜ突然アムルサナーの話題が飛び出したのか?


ジュンガル帝国は強大だ。余計ないざこざは起こしたくない。そこに突然、若き
アムルサナー が駆け込んでくる。アブライ・ハンはすぐに、彼があのクルパシュに瓜二つであると気づいた。 アムルサナーは母クルパシュの死を伝えた。あの美しい銀のフクロウが牢屋に舞い降りた夜のことをアブライ・ハンは思い出していた。
そこにトプシュがあらわれるが、彼女はアムルサナーが自身の弟とわからず、ただ「オイラト族に知り合いはいません」と一蹴した。


アブライ・ハンはアミール・サナをかくまうことを決める。しかし、カザフ族の長ボタハンとジャカイが乗り込んできて、アムルサナーをジュンガルに引き渡さねばカザフは反乱を起こすアブライ・ハンを脅す。しかしアブライ・ハンは決意を変えず、無礼な二人を捕らえるよう衛兵に命じた。
それでも、おそらく彼らが多数派だろう。アブライ・ハンは民に判断をゆだねることにした。


広場は憤った人々でいっぱいだ。王の行動への怒りであることは明らかで、そしてアブライ・ハンの暗殺を試みる一団によって扇動されていた。銃声。アブライ・ハンは人々に言う。「我はハーン位の名誉を放棄するつもりはない。民はそれを奪うことができるが、この地に平和をもたらしたのが誰であったか、部族の確執を収めたのが誰であったかを忘れてしまったようだ」と。族長が評議会を招集し、最終決定を下すこととなった。


ハンの宮殿、アブライ・ハンが王座に、彼の右に賢者ブハル・ジュラウ率いる族長たち、そして左に戦士達が並ぶ。ブハル・ジュラウは平和と平穏を求めた。敵は仲間内での争いが起こるのをこそ待っている。


民の代表者は、アブライ・ハンに国を治め勝利の御旗のもと民を導くよう請う。カザフの戦士はそれぞれの軍を招集し、明るい未来と自由の夢を抱いてステップを進んでいく。<終幕>

考察

英雄モノだし、動画もあるから比較的やりやすいかと思ったら甘かったです。やはり当時ロシア、清、モンゴルといった周辺諸国の情勢がわからないと理解ができず、時間がかかってしまいました。
最終的にジュンガルは清に滅ぼされ、生き延びたアムルサナーも清朝の追手から逃げる途中に亡くなるという世界情勢のなかで、アブライ・ハンはただ軍事的に強かっただけでなく、ロシア帝国と清朝の両方から承認を取り付けるなど、カザフ民族を国家としてまとめあげるべく奮闘したというのが今日まで英雄と称えられている所以かと思います。

お時間のある際にぜひ見てみてくださいね。


カザフオペラのあらすじ紹介シリーズ


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