駅、大通り、オペラ劇場、すべてに名前がつけられたカザフ・ナショナリズムの父アバイ

私が初めて参加したウォーキングツアーの集合場所は共和国広場正面の「アバイ像前」でした。最寄り駅も市営地下鉄「アバイ駅」。その日の早朝に到着したばかりで右も左もわからないアルマトイで初めて目指した場所です。そんな経緯もあり、私のなかで妙に思い入れのある人物になってしまった「アバイ」。ガイドのデニスくんによれば、彼はカザフ独立の象徴であると。(デニス君についてはKISE編集日記参照:オプショナルツアー大好きな理由とWalking Almatyの思い出 #2019/1/4

そこでは今回は、彼がカザフスタンという国にどんな貢献をしたかを簡単にご紹介したいと思います。

アバイ・クナンバイェフ(カザフ名でアバイ・クナンバユリ)は、1845年生まれの哲学者であり作曲者であり詩人。そして、西洋やロシアの文化を取り入れつつもイスラムを根底においたカザフ文化の在り方を示した文化改革者でもあります。代表作は『The Book of Words(言葉の書)』(英語版は無料で読めます)。

丸い帽子、ゆるっとした上着、手には本かドンブラを持っていることが多い
(https://kk.wikipedia.org/wiki/Абай_Құнанбайұлыより引用)

カザフ文化とは? カザフ民族とは? それまで草原で暮らす一族のなかでのみ完結していた慣習や儀礼をまとめ、カザフ・ナショナリズムの礎を築くとともに、同胞たるカザフ人に対して貧困や奴隷状態、腐敗から抜け出すために教育の重要性を解きました。また、イスラムのマドラサ(学校)とロシア系学校の両方に通った経験から、語学にも非常に秀でており、当時カザフスタンに対して強大な影響力をもったロシアをはじめ、外国文学のカザフ語訳事業にも取り組みました。

彼の著作は残念ながら日本語には訳されていませんが、カザフの人々にとっては「カザフ・ナショナリズムの父」。カザフスタンで「アバイ」という名前を聞いたら、頭の片隅にでも思い出してみてください。


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