オプショナルツアーというとショーや歴史名所訪問が一般的ですが、今回はちょっと趣向を変え、ホームステイならぬホームビジット、突撃アルマトイの晩ご飯!ツアーに参加してみました。一人旅といいつつ現地の人と交流するのが大好きなんです。しかも今回はたまたまラマザン(断食月)中だったので豪勢なイフタール(断食明けの食事)にご招待いただくことになりました。参加時期により内容は異なると思いますが、ご参考までにレポートさせていただきます。予約はINDY GUIDEから行いました。(参考:現地オプショナルツアー探しにはINDY GUIDEが強い味方)
INDY GUIDEのコーディネーターはアルトゥナウ。 6月のアルマトイは日没が遅いので、夕食開始は21時と少々遅めの設定となりました。当日は19時半にアルトゥナウと弟のミルランベクが車で滞在先まで迎えに来てくれました。そう、今日お邪魔するのは彼女のご実家だったのです。
彼女の育ったお宅は郊外の分譲マンション。市内中心部からは車でおよそ30分ほどでした。到着するとすでに室内にはよい香りが漂っています。キッチンでお母さんがイフタール準備をしている匂い。イスラム教圏でラマザンを経験する度に思いますが、味見せずごちそうをつくりあげるお母さん達やシェフの皆さん、本当にすごい。そしてこの日は、お嫁に行ったお姉ちゃんも赤ちゃんを連れて里帰り中。たしかに、ラマザンって日本でいえばお盆のように親戚が集まってワクワクする時期でした。
ここでさらにアルトゥナウから嬉しい発表。「今日の晩ご飯のメインはベシュパルマック、食べたことある?」と。
一挙紹介!アルマトイで挑戦したいご当地グルメの記事にも書きましたが、ベシュパルマックは平たい麺と肉を豪快な盛りつけた遊牧民の大皿料理。一人旅では食べられないと諦めていたのに!
しかもこれから麺をカットして茹でるということなので、その様子を見学させてもらいました。ラザニアのような正方形の麺を、ぐつぐつ煮立った馬出汁で茹で上げて大皿に取り分け、馬肉、馬ソーセージ、馬モツと今夜は特に馬づくし。炒めた玉ねぎがアクセントです。
ちなみにベシュパルマックって「五本指」という意味。その名の通り手で食べたことに由来するのですが、こんなに熱々で汁だくのメニューを本当に指で食べたのか??と思わず疑問が沸きます。なお、今でも手で食べる方はいるそうです。我々はフォークでいただきました。柔らかくつるつるした麺に馬の濃厚な肉とスープがぴったり。ドリンクはもちろんさっぱりとしたクミス(発酵馬乳)。
さて、話が前後してしまいますが、イフタール開始時間は現地の日没とほぼ同時となります。正確な時刻を知るためテレビのチャンネルは日没カウントダウン番組にセット。家族でテーブルにつき、お祈りの言葉とともに日没を迎えたら家族で「いただきます」。
テーブルにはところ狭しとごちそうが並んでいますが、まず一口目は胃に優しいといわれるナツメヤシの実。そして、飲み物、サラダと徐々に胃を慣らしていきます。いきなりがっつくとお腹を壊すので。
サラダや前菜は野菜たっぷり。夏らしくキュウリやトマト、ナスがふんだんに使われ、少々夏バテ気味の体に沁みます(私は断食はしていませんが)。胃がこなれてきたら麺、パン、お肉の時間。もちろん食べるだけでなくおしゃべりも。
陽気なパパさんが「日本人とカザフ人の共通点といえば蒙古斑だよね!」とカザフ語で言い、英語のできるミルランベクが「ボクそんなの訳せないよ!」と照れていたのが可愛かったのですが、なぜ私が訳なしでそのやりとりを理解できたのかは謎。
そんな非言語コミュニケーションもありつつ、デザートタイムはミルクティーにハニーケーキ、各種フルーツ、エリムシェッキ、コルト、ジェント(すべて馬乳、ラクダ乳加工品)。
お茶を淹れるのは昔から女性の仕事。カップにまず牛乳を注ぎ、次に濃いお茶、最後に好みに応じてお湯で割るそうです。「今時はお父さんも自分でお茶淹れるけどね!」とアルトゥナウ(こんなところも日本と似ています)。
家族全員によるカザフ料理レクチャーにより、この一晩でカザフの食文化についてとても詳しくなりました。満腹なところにとどめのバウルサックも登場。さすがにもうおなかいっぱいで食べられないと言うと、すかさず持ち帰り用のパックが出てくるのがほんとに親戚の家のようです。結局、こちらが恐縮するほど大量のお土産をいただいてしまいました・・・・・・。
最終的におうちを後にしたのは深夜12時。もっとたくさん親族が集まれば朝までおしゃべりすることもあるという、「突撃晩ご飯」どころではない濃厚なホームビジットでした。もちろんラマザン中でなくても大歓迎してくれるはずです。(お料理は日によって変わります)
なお、持ち物は特に不要のツアーですが、念のためチョコレートを手土産に持参して大正解でした。ご参考まで。
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